【小説レビュー】『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』新たなツンデレ像を生み出した斬新な設定がウリ!

この記事について

・「ろしでれ」のあらすじを紹介
・面白さのポイントを解説
・印象的な場面3選!

ツンデレヒロインは昔も今も根強い人気がありますよね。

「ツンデレ」の用法についてはいくつかの解釈がありますが、昨今では人物の二面性ということで広く普及しているように筆者は感じます。

ですからここでは二面性ということで進めます。

この作品はそんな二面性を思いきり強調したキャラクターが登場します。なんといってもロシア語を話しますからね。そして彼女のロシア語が分かるのは主人公だけ。

この着眼点は秀逸で、キャラを立たせることにおいても、読者の興味を引くことにおいても抜群に機能しています。

そんな「ろしでれ」のポテンシャルは如何ほどか。見ていきましょう。

ネタバレを含みます。苦手な方はここでブラウザバックして他の記事をご覧ください。

公式サイトはこちらから。

目次

あらすじ

背表紙からお借りします。

「И наменятоже обрати внимание」
「え、なに?」「別に? 【こいつホント馬鹿だわ】って言っただけ」「ロシア語で罵倒やめてくれる!?」俺の隣の席に座る絶世の銀髪美少女、アーリャさんはフッと勝ち誇った笑みを浮かべていた。……だが、事実は違う。さっきのロシア語、彼女は【私のことかまってよ】と言っていたのだ!
 実は俺、久世政近のロシア語リスニングはネイティブレベルなのである。そんな事とは露知らず、今日も甘々なロシア語でデレてくるアーリャさんにニヤニヤが止まらない!? 全生徒憧れの的、超ハイスペックなロシアンJKとの青春ラブコメディ!

時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん|燦々SUN

「ろしでれ」のここが面白い

新たなツンデレの形

アーリャさんことアリサ・ミハイロヴナ・九条の最大の特徴は、本音を言うときだけにロシア語で話すことです。

ツンとデレを言語でもって使い分けているところに新たなツンデレの可能性を感じます。

普段は感情を表に出さず、正論しか口にしないアリサですが、政近と話すときだけは隙を見せます。ロシア語が分からないのを良いことに、それを面白がっているのです。本人はからかっているつもりですが、自覚していないところで政近に好意を持っています。

物語を通して段々と自分の恋心に気づいていくのは可愛いですよね。

さらに面白いことに、政近はロシア語を聞き取ることができます。

つまり、アリサの本音は全て政近に筒抜けなのですね。それを知らずに、恥ずかしいことを口走っているアリサの滑稽さに笑えます。

魅力的なヒロインたち

アリサはもちろんのこと、主人公の幼馴染(?)である周防有希やアリサの姉のマリヤといったヒロインも魅力的です。

特に周防有希の描かれて方は生き生きとしていて、好感度が高いです。

名家のお嬢様で生徒会役員、美人で立ち振る舞いも優雅。生徒の間からは「深窓のおひい様」と呼ばれ一目置かれています。

しかし本性はガチのオタクであり、政近の実の妹で

政近の前では飾らずに振る舞っており、オタク趣味を全開にしています。政近がオタクになったのも有希の布教がきっかけです。ブラコンでもあり、政近を「愛しのお兄ちゃん様」と呼んだり寝起きに政近のベッドに突撃したりといった一面も見られます。

こうした高嶺の花でありながら気が置けない友人でもある二面性が有希の魅力です。

兄妹であるということは口外していないため、政近と親しくしているところを見られてはアリサに対抗心を燃やされています。

辛いものが苦手なことを分かっておきながらアリサに辛いラーメンを勧めたりと、小悪魔的なところも良いですよね。

印象的な場面3選!

その1:アーリャさん、ブチ切れる

【信っじられない! バカ! 死んじゃえ!!】

時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん|燦々SUN

政近とアリサが日直の朝、いつもより早く登校した政近は教室でアリサと二人きりになります。

登校中にうっかりニーソを濡らしてしまったアリサは、面白がって政近に替えのソックスを穿かせてもらおうとします。

しかし恥ずかしかったのか、指が太ももに触れた途端に政近を蹴り飛ばしてしまいます。

一度は心配したものの、床に這いつくばった政近がダイイングメッセージのようにパンツの色を伝えると、アリサは怒りと羞恥に燃えて「バカ! 死んじゃえ!」と叫びながら教室を飛び出してしまいました。

その日、ご機嫌斜めなアリサのために、教室は緊張感に包まれていましたとさ。

その2:アーリャさん、服屋でハイテンション

上半身を前に倒し、右人差し指を頬に添えながらパチンとウインクを決めた……ところで、アリサは政近の隣に立つ有希に気付いた。

時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん|燦々SUN

有希と映画を観に行った政近は、偶然にもアリサと出会います。

当然のように三人で昼食を食べた後(ここでもプチ事件が起こりますが割愛)、有希が別の買い物をしている間にアリサと政近は服を買いに行きます。

普通に買えばいいのに、アリサは政近に対抗してファッションショーをしてドギマギさせようと企みます。

始めは恥ずかしがっていたアリサですが政近に褒められる度に気分が良くなってきて、ついには大胆な服を着てポーズまで決めてしまいます。

その浮かれっぷりをいつの間にか合流していた有希にも見られてしまい、羞恥のあまり【消えたい……】とロシア語でつぶやきうずくまってしまいました。

その様子を見た有希に「ウブなベイビー」と言われる始末です。

普段はクールに振舞っていても、やはり年頃の女の子であることが伺える場面です。

その3:やればできる男、政近

自分は表に出ず、他の人を助ける。自分は陰に徹し、他の人を輝かせる。それが、政近という人間なのだ。

時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん|燦々SUN

校庭を使用する時間を巡ってサッカー部と野球部が揉めているところ仲裁に入っていたアリサですが、上手くまとめられずにいました。

議論が白熱して喧嘩に発展して、手に負えなくなったアリサは心が折れてしまいます。逃げ出すこともできず、唯一できることはロシア語で助けを求めることでした。

しかしこの学校にはアリサのロシア語を理解できる人間がいます。

政近です。

たまたま近くに来ていた政近にその孤独なSOSが届き、現場に助けに来ます。ヒーローのような最高のタイミングです。

颯爽と現れた政近は、あっさりと場を治めてしまいした。このような引き立て役をさせると一流なのです。

これによってアリサのハートはがっちり掴まれます。果たして政近に対して素直になることができたのか。それは本作を手に取って実際にご覧ください。

まとめ

「ろしでれ」は斬新な切り口から新たなヒロイン像を確立した作品です。

アリサはもちろんのこと、脇を固めるヒロインたちも魅力的です。

可愛らしいキャラクターを存分に楽しむにはうってつけの作品でしょう。

この記事のまとめ

・本音を言うときだけロシア語で話すヒロインと、ロシア語を理解できる主人公のラブコメディ
・二面性に着目したキャラクター造形が魅力
・見どころが満載の作品!

以上!

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